川崎でスープパスタを食べてから二宮へ。2月に来たばかりなのになぜまた二宮かという理由は二つある。ひとつは、吾妻山の展望台から見える葉のない林は桜だろうと気づいてこれは桜の季節に来なければと思ったのだ。前回となるべくかぶらないように、一番最初に二宮に来たときに通った北口の町役場の脇から園内に入るプランだ。初回はすっかりへばってしまったのでちょっと身構えたが、そのときより身体能力が改善されてるので数回立ち止まったくらいで展望広場にたどり着いた。桜は見頃だったが、前回満開だった菜の花がなくなっていたので、ピンクとイエローのグラデーションを楽しむという贅沢は果たせなかった。
前回とは逆に吾妻神社を経由していったん下界に降りることにした。せっかくのぼったのにすぐ降りるのは浪費してるみたいだが、前回と経路が重ならないことを優先した。下におりきって小川に沿った道を進むうち前回通った交差点に気がつく。我ながら鮮明に覚えてるのがすごい。そのあとはまた初見の道が続くが、短い隧道をくぐり、前回通った新坂呂橋通りという道に合流した。ここが前回との最大の重複区間だ。前回は名前の由来の新坂呂橋を渡る前に曲がってしまったが、今日は橋を渡り突きあたりまで進む。
さて、この先が理由の二つ目だ。小田原中井広域農道という道を歩きたかった。前回地図を見て見つけたのだけど、距離的にも時間的にも歩けなかったのだ。期待したのは、奥まって林の中を通り抜けるような風情だ。ところが予想より交通量が多く、しかも飛ばす飛ばす。ものすごいスピードで走り抜けていく。名前通りの農道として使っている人はほとんどいない気がする。その先で大回りしていたので手前でショートカットできる道に入り込むことにした。車が通らず安心できたが、迂回しない分だけ傾斜がきつい。ある程度上りつめると見晴らしが広がってあちこちに集落が垣間見えた。
結局は広域農道に合流する。そのあとも上りが続いて吾妻山より数十メートル標高が高い地点まで到達したようだ。峠を越えて下りになってからもなるべく早くこの危険な道から離れたくて、急ぎ足で歩いたので、かなり汗だくになってしまった。終わりが見えてきてまたしても迂回しようとする直前で急傾斜の半ば山道のような道に入り込む。いつクマがあらわれたり道が崩れていたりするかわからない、農道とは違うこわさがあった。平坦になると同時に民家に取り囲まれようやく人心地ついた。
道のつながりが悪いなかどうにかJRの広大な車両センターを跨線橋で越える。あたりの夕闇は急速に濃密になりもうすっかり夜だった。農地の間の街灯がない道を進んでいく。冒頭に、坂道を上るのが昔より楽になったというようなことを書いたが、街灯のない暗い道も全然平気になった。すぐまた街中に入る。そろそろどこで着地するか決める必要がある。このまま進んで酒匂川を渡り、小田原中心部に近づくか、あるいは御殿場線の駅に向かうか。御殿場線は先ほどの車両センターと同時に越えてしまったようだ。けっこう迷ったがレアな御殿場線の方を選んだ。
最初は上大井に向かおうかと思ったが手前に下曽我という駅があることに気づいて途中で右折した。思ったより長い道のりだったが、どうにか線路の下をくぐり駅舎のある東側へ。相変わらずつながりの悪い道を繋げて下曽我駅に到着。
国府津方面の電車は10分ちょっとでやってくるはずだった。御殿場線はJR東海管轄なのでSuicaではなくTOICAだ。Suicaエリアに乗り越す方はICではなく、切符を買えと書いてある。ところが券売機も窓口も見当たらない。数学でも言うと真と仮定しても偽と仮定してもどちらも矛盾というような状況だったが、とりあえずICで入場してしまった。結果としてこれで正解で下車駅で精算すればいいのだ。ちゃんとその旨を駅に書いておいてほしい。
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