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2023-09-30 : 乃木坂駅 - 用賀駅 (13.6 km)
Shinichi Sugiyama
Shinichi Sugiyama

いつもよりさらに遅い出発になってしまったところにさらに忘れ物をとりに戻り、探しても見つからなくておかしいと思ったらカバンの中に入っていたというオチがついたところでだいたいふだんの2時間遅れだ。銀座で7ヶ月ぶりのアラカルトプレートランチの後千代田線で乃木坂へ。

今北杜夫『楡家の人びと』を再読していて、ゆかりの場所を散策しようと思ったのだ。まずは前半の主な舞台楡病院のモデル青山脳病院の跡地に行ってみる。最寄ではないが、コースの都合で手前の乃木坂の青山霊園に面した出口からスタートする。ちょうど5時で夕暮れになっていた。頭上の陸橋に上り青山霊園の真ん中を横断する。霊園を抜けると再び橋になって沈みかけた夕日に照らされた街並がかいま見える。橋を過ぎて右手に曲がると病院跡地があるはずだった。

静かな住宅街だ。最初左手のこのあたりにしては割と庶民的なアパートメントがそうかと思ったが、実際は逆側の高級ホテルと見まがうような豪華なコンドミニアムがそうだった。脇に二代目院長を務めた斎藤茂吉の歌碑があった。

あかあかと一本の道通りたり
霊剋るわが命なりけり

跡地前の道は夕闇に沈んでいた。

さて、ここから火災の後新築された梅ヶ丘の病院跡地を目指す。表参道交差点はすぐそこで、雑踏でごった返す表参道をすり抜けて代々木公園に沿って進み富ヶ谷の商店街の向こうには地下鉄代々木公園駅の入口と小田急代々木八幡駅がある。ホーム横の踏切を渡り商店街に入り込む。代々木上原まで続いている。ちょっと井の頭通り沿いに進む、東京ジャーミイ前でブルカを被った女性たちとすれ違う。大山交差点から東北沢駅方面へ。基本小田急線から離れないで進むことにしていたのだ。

下北沢の手前でまだ整備中の小田急線路跡に入り込むことができた。ムーンアートナイト下北沢というイベントをやっていて、露店の合間の細い道を、若者中心に埋め尽くしていた。直径10m近い大きな月の模型がぶらさげられていた。

駅直結の商業施設を通り抜け遊歩道の中に店舗がならぶおしゃれなエリア。世田谷代田駅前から環七を陸橋で越え、そのまま進んでいくと、小田急が地下から顔を出し、それとともに道は線路から離れていく。梅ヶ丘駅への入口を通り過ぎた先に目指す青山脳病院新本院の跡地、現在の東京リハビリテーションセンター世田谷があらわれた。広い敷地に開放的にモダンなビルディングが並んでいる。大戦中に病院の継続が不可能になり東京都に譲渡された。

これで目的を果たしたわけだが、まだまだ歩ける。商店街の灯りに沿って豪徳寺駅周辺へ。いったん世田谷線に沿って南下するが、結局は経堂駅にたどり着く。北は最近かなり歩いている気がしたので、農大通りという商店街を南下する。商店街は終わり、静かな住宅街へ。南下を続ける。ほとんど忘れかけた頃東京農大のキャンパスにたどり着いた。かなり離れている。そういえば農大はもともと青山の近くにあり、『楡家の人びと』にも病院創設者の基一郎の次男米国が乳g区した学校として登場する。楡家散歩で訪れるにふさわしい場所と言えなくもない。

しかし蒸し暑い日だ。今日で9月が終わりなんて信じられない。

地図で確認したら奥にある馬事公苑の西側を南下していけば用賀にたどり着くことがわかった。例によって地図で見るよりずっと遠い。長い馬事公苑の塀をようやく通り過ぎると少しずつあたりに店が増えていって、ゆっくりと用賀駅に到着。

2023-09-30 : 乃木坂駅 - 用賀駅 (13.6 km)