日差しは映画のなかのシーンみたいにギラギラ照りつけていた。DIC川村記念美術館に向かう無料バスは9分遅れで到着した。祭りで道が混んでいたようだ。なんと2台体制だ。JR佐倉駅で待っていたのはぼくを含めて4名だったが、京成佐倉駅から乗ってきた人たちがたくさんいて、一両目は8割がた席が埋まっていた。2台来る必要はないわけだが、積み残さないようにしているのだろう。
20分ちょっとで美術館のあるエリアに到着。けっこうにぎわっている。移転、閉鎖を含めた検討中でとりあえず休館するという報道があってから客足が飛躍的に伸びたらしい。1800円のチケットを買って、庭園のなかに入っていく。庭園はとても広くて見応えがあるがまず美術館で展示を見る。建物は農場のサイロを並べたような形をしてる。中は外観よりずっと広い。無料の音声案内アプリがダウンロード可能で作品の説明を聞くことができる。コレクションがバラエティーに富んで素晴らしいし、今回の企画展の西川勝人展も自然光を使ったライティングでなぜか展示物がシュールに見える感覚が味わえた。迷宮の中央の花弁の香りがいい。遠いので来るのが大変だがサンクチュアリ的なこの空間をぜひ残してほしいと思った。
今日はここから徒歩で街まで歩くプランだ。日没が迫っているがまず園内を散策する。自然散策路の中のベンチに横たわって木漏れ日を眺めた。しばし時間が静止する。ヘンリー・ムーアの彫像がある広場を横切って睡蓮がある池のほとりで完全に人に馴れきった白鳥たちを愛でる。時間がないのであわただしくなってしまった。
園外に出て表通りに出る手前でそのまま曲がりくねった農道のような道に入った。やがて表通りの県道に合流したところがちょうど市境で四街道市に入った。その先にT字路の分岐がある。真新しいが沿道は未開発。街までショートカットできそうなので入り込んでみた。1.5kmくらい進んでようやく住宅地に入る曲がり角。学校があり、旧街道な街並みになる。夕闇が一気に訪れた。
再び表通りに出ると前方に商業施設の看板が見えた。坂をおりてのぼると目の間にデニーズ、サイゼリヤがあらわれる。その先にあったモスバーガーで食べ損ねていたランチにようやくありついた。
地図で確認したら四街道駅のすぐ近くだった。いったん駅に向かうことにする。さすが人口十万人近くある都市の中心駅でけっこう賑わっている。目的は果たしたが距離が足りない。後小一時間歩きたかった。なかなか開かない踏切を渡り北口の県道に入り込む。そのまま進めば船橋方面だがさすがに遠すぎる。展望がないまま左側に分岐する小道を選んでみた。高いフェンスがあらわれて向こう側ではこちらとさほど変わらない殺伐とした風景が広がっていてなんだろうと思ったら陸自の駐屯地だった。
先週からちょっと左足が痛むこともあり、けっこう疲れてきた。行手には千葉モノレールの駅もあったが、それだと千葉駅まで戻る感じになる。それよりはどこかの通りでバスに乗ったほうがよさそうだ。このあたりはしばらく先まで稲毛駅からのバス圏内だった。
ワンズモールという中くらいのショッピングセンターのバス停で終わることにした。バスが来るまで十数分待った。ショッピングセンターの隣に車庫があってそこが始発なのだった。
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