新宿の駅ナカで3種類の海苔がたっぷり入ったお茶漬け。物足りない気がして鮭とイクラ付きのやつにしたが海苔の存在感が強すぎて鮭とイクラはかすんだ。
たまたまきた電車が大月行きだったので頭のなかをいろいろ駆け巡って四方津まで行くことにした。山梨県上野原市。駅前の長大斜行エレベーターコモアブリッジを使って山梨のマチュピチュ(笑)とも呼ばれる高台の住宅地コモアしおつまでのぼる。基本的に住人のためのものなので料金は無料だ。中央にはエスカレーターもあって本当はこれに乗りたかったが、通勤通学の時間帯に限定されているようだ。乗車時間は4分弱。それで標高100メートルをあがる。
小さな郵便局みたいな建物から外に出るとコモアしおつの街並みが広がっている。駅前に街唯一の商業施設があってスーパーなどが入ってるようだ。警察の駐在所、郵便局、個人経営の数件のショップのほかはほぼ戸建ての住宅だ。街を一周する。静かでいい感じだ。都心ではまだ気配がない金木犀がここでは咽せそうなくらい香っている。基本街を周回するメインストリートに沿って進むが、ちょっと遊歩道に入り込んでみた。思ったより子どもの数が多い。1991年販売開始ということなので老人ばかりかと思っていた。北の縁のほうに行ってみると石垣が森の侵入を阻んでいた。眺望がひらけてまわりを取り囲む山々が見えた。
だいたい3分の2周くらいして下に降りることにした。思ったよりコモアしおつは小さく感じた。一周3キロ弱という感じだ。小学校の傍から、確実にコモアができる前からある金毘羅宮の境内を抜け参道の急階段を降りていく。降りきると甲州街道だ。市役所の支所がある一本奥の道を進んでみるが結局は甲州街道に合流した。
街はずれのような感じから、左手はダイレクトに里山がかぶさってきて、右手は桂川によって穿たれた谷の向こうに鬱蒼とした山々が折り重なっている。やがて道が左に大きく曲がると同時に右手が大きく開けて雄大な川筋が広がっていた。桂川のようだ。その先で県境を越えると相模川と名前を変え相模湖へとつながる。あたりにパチンコ屋などがあらわれ町に入ったかと思うが、一瞬だけで、またすぐ山が迫ってきて長い上り坂になる。
中央本線、桂川の支流の鶴川、中央道を越えて右にカーブしたところからまた町になる。上野原市役所が近くにあったようだが、まだ建物はまばらでなだらかな坂道が続く。
左手の県道が合流してからが上野原市中心市街地。商店街の幟がかかってるがシャッターを閉ざした店が多い。夕闇があっという間に濃くなる。右折して上野原駅を目指す。2キロと書いてある。市街地と駅が離れているのだ。最初商店街が続くが中央道を跨ぐと寂しくなる。やがて右手はるか下に駅周辺の街並みが広がる。かなり高低差があるようだ。
もともと県境を越えて藤野まで歩こうと思っていたがもう真っ暗で、そんななかの峠越えはちょっとリスキーという結論になった。距離は短いが上野原で散歩を終える以外の選択はなさそうだ。昨日のまったり感と対照的に、今日は前半のワクワク感と後半の山間のロードサイドの緊張感でメリハリのある散歩だ。
歩行者用の階段があったのでくだると下まで降りきらないうちに上野原駅北口があらわれた。さっきの2キロというのは車向けで歩行者は1キロちょっとというところだ。せっかくなので反対側の入口を目指して下まで降り切ってみることにした。
迂回して下に降りるとりっぱなロータリーとシースルーの真新しいビルがある。1階は待合室でエレベータで改札まで昇れる。北口はなんと5階だ。この時間の都心方面の電車は30分毎。なぜか最後尾の車両だけに大きなリュックを持った登山客が集中していた。
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