渋谷でスパイスカレーを食べている間に雲行きが怪しくなってきた。予報では今日一日天気が保つことなっている埼玉に向かおうと埼京線に乗り込む。車窓には早くも大粒の雨が叩きつけていた。

中浦和駅からスタート。武蔵野線から大宮方面へのショートカット線が川の上を走っている。かつてあった鴻沼の干拓に際して水を抜くための排水路のようだ。目の前に橋があったので渡っておくことにした。その一角だけ秘境感があった。向かう側にはいい感じのまっすぐな道がのびていて、誘い込まれた。太陽が隠れていて最近の中では気温が低かったので最初気持ちよく歩けるような気がした。

予想していた通り西の荒川方面に進んでいてちょっとずつローカルな感じになってきた。だんだん蒸し暑さが耐え難くなってきてペースが落ちていく。初めて埼玉大学にたどり着いたのでまわりをめぐっておくことにした。緑の多いキャンパスを覗き込みながらいい感じの路地を進む。埼大通りというロードサイド沿いの商店街からそれて与野中心部に向かおうとするが、ドリンク購入のために入ったセブンイレブンから出たときに方向感覚がとち狂って元来た方に進んでいた。そのことに気がつかないまま埼大通りに戻り、狐につままれたような心持ち。さっきからぱらついていた霧雨が存在感を増してくる。

今度は埼大通りをまっすぐ進む。そのまま進めば北浦和駅あたりだったようだが、手前で南下して住宅街の中へ。中央区大戸という町だった。遊歩道を抜けて別所沼公園の中へ。俄然雨が激しくなってきた。地面もぬかるむ。沼も濁ってたぷんたぷんだった。西の空が不気味な紫色になっていた。スタート地点の中浦和がすぐそこだった。一周して戻ってきたことになる。大昔にきて名前を覚えていた鹿手袋商店街に迂回して中浦和にカムバック。