風が冷たい。
武蔵野うどんの店を新規開拓しておこうと思った。あちこちに支店のあるそれなりに名のある店だ。現実的に今日行けそうなのは所沢駅前商店街の店だけだった。有楽町経由で向かう。
西口からのびるプロぺ商店街の終端近くに店はあった。並でも350グラムあるはずのうどんを一気にペロリ。こしはもう少しあってもよい。
いったん駅の方に戻ってから西に向かう道に入る。星の宮という地名がロマンチックだ。西武池袋線の踏切を渡り、中央に立派な桜がある自動車教習所を見ながら坂を下る。行く手には大きな里山がそびえていたが、右に回り込む形で進んでいった。その道も突きあたりにぶつかって終わり、右にそれて橋を渡ると、西武狭山線の下山口駅が近づいてきた。
奥まった感じのある牧歌的な住宅街を進んでいく。突きあたりで折れながらやがて西武狭山線の高架線が見えてきた。狭山線の終点は西武球場前だ。折しも試合が終わったばかりのようで、ユニフォームを着た人たちが三三五五歩いている。手前で折り返し、今日最大の急坂をのぼって墓地の中へと入っていく。車は通るが半分山道みたいなフェンスにはさまれた道はやがて多摩湖湖畔へとつながっていく。
多摩湖中央の堤を南下する。西半分の湖はあまり水がたまってなくて地面が黒々とさらけだされていた。渡り終えて、基本的にはそのまま町に向かおうと思っていた。ただその前にちょっと湖畔にそって西に進んでみようと思った。ちょっとのつもりが入り込める道をどんどん見送ってしまった。よしそろそろ町にでるぞと息巻いたが工事中で通り抜けられないという標識がみえる。あきらめた。それ以降そういう道は見あたらなかった。
いつの間にか逆方向の東に進んでいて狐につままれたような気がした。もう多摩湖の西端は通り過ぎていて、狭山湖と多摩湖の間を抜けてきた道にぶつかった。その道をあらためて逆の西方向に進む。久しぶりに鉄筋の建物が見えたところで道は左折し、それとともにあたりは町らしくなる。青梅街道と交差したあたりからは完全に町に戻ってきた感じがした。
AEONモールがあらわれる。そこからバスに乗る選択肢もあったと思うが、やはり駅を目指すことにした。AEONのブロックを過ぎると残堀川が並走してきた。左手には大きな区画が広がっている。茫漠とした公園のように見えるが立入禁止だ。あとで確認したらとある宗教団体が購入した土地らしい。
ようやく西武拝島線の線路があらわれて、左手にホームのあかりが見えた。武蔵砂川駅だ。ぼくを追い越した若い男性が急いでいる感じでぼくもそれにつられて急いでしまったが、実は電車の到着まで余裕があったし、そもそも10分間隔だった。
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